診療内容MEDICAL
噛み合わせ治療
噛み合わせは、食事や会話はもちろん、顔の表情や顎の関節など、私たちの口元に大きく関わる要素です。
歯がしっかり噛み合っていないと、食事の際に食べ物がうまくすりつぶせなかったり、特定の歯に過度な力がかかってしまったりすることがあります。
このような力の偏りが続くと、むし歯や歯周病の進行、顎の痛み、頭痛など全身的な不調にもつながる恐れがあります。
当院では、噛み合わせを正しく整え、歯や顎の関節を長く健やかに保つための治療を行っています。
噛み合わせが乱れると起こりやすい不調

歯並びが悪かったり、高さが合っていないかぶせ物が入っていたりすると、一部の歯だけが過剰に力を受けることがあります。
その結果、歯が磨耗しやすくなったり、ヒビが入るなどのトラブルにつながることがあります。
咬合が合わない状態が続くと、顎の関節に負担がかかります。
口を開け閉めした際にカクカクと音がする、顎が痛むなどの症状がある方は、噛み合わせに問題が隠れている可能性があります。
噛み合わせのずれは顎の筋肉や首、肩、背中へ影響を及ぼし、慢性的なコリや頭痛の一因となることがあります。
歯ぎしりや食いしばりが強い方ほど、全身のバランスを崩しやすい傾向が見られます。
日常のストレスや緊張状態が続くと、歯ぎしりや食いしばりが習慣化することがあります。
噛み合わせに不具合があると、さらに負担が増し、歯がすり減ったり顎関節症を引き起こしたりします。
スプリント装着や咬合調整を通じて、ストレスと歯への負担を軽減するよう努めています。
当院の噛み合わせ治療の特長

当院では、KAVO製フェイスボウを使った正確な咬合診断を行っています。
フェイスボウとは、顎と頭蓋骨の位置関係を立体的に記録する器具です。
これを用いることで、CO(中心咬合)とCR(中心位)のずれ、早期接触や咬頭干渉、咬合様式などを的確に把握できます。
正確な診断によって、一人ひとりに合った治療計画を立案しやすくなります。
顎関節や噛み合わせに関する問題が見られる場合には、まずスプリントを装着してみることがあります。
スプリントを一定期間使用することで、顎関節や筋肉の状態を整えたり、歯への負担を軽減したりします。
その後、スプリントで改善した咬合位置を基に、フェイスボウを使った正確なフェイスボウトランスファーを行い、咬み合わせの再構成を検討します。
スプリント治療で適正な咬合位置が確定したら、オーバーレイと呼ばれる方法で新たに咬合を再構築します。
歯を大きく削ることなく、セラミックスの被せ物やかぶせ物を利用して咬み合わせを調整する方法です。
セラミックスは見た目に優れているだけでなく、噛み合わせの調整がしやすく、長期的な耐久性も期待できます。
適切なサイズや形状を追求し、歯並び全体のバランスを整えることで、負担が偏らない噛み合わせを目指します。
噛み合わせ治療の流れ
1. 検査とカウンセリング
まずはレントゲン撮影や口腔内検査を行い、歯や顎の関節の状態を把握します。
フェイスボウを用いて顎の動きや上下の歯の位置関係を精密に記録し、問題点を洗い出します。
その後、症状やライフスタイルを踏まえながら、患者様と一緒に治療計画を考えます。
2. スプリント装着
噛み合わせの不調が顎関節や筋肉の緊張を誘発している場合、スプリント(マウスピースの一種)を作成します。
就寝中などに装着することで、歯ぎしりや食いしばりから歯や関節を守り、筋肉の緊張を緩和します。
この期間に顎が理想的な位置へ近づき、痛みやコリが軽減するかを観察します。
3. フェイスボウトランスファーと咬合再構成
スプリントで得られた咬合位置を基に、フェイスボウトランスファーを行います。
これは顎の位置を再現した状態で、咬み合わせを理想的な形に作り変えるための重要な工程です。
その上で、オーバーレイなどセラミックスを使った補綴治療を組み合わせ、咬み合わせを丁寧に再構成します。
4. メンテナンスと微調整
咬合再構成後は、定期的に噛み合わせや歯の状態をチェックし、必要に応じて微調整を行います。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、スプリントの使用を継続することで症状の再発を防ぎます。
咬合が安定すれば、歯や顎に無理な力がかからず、むし歯や歯周病のリスク低減にもつながります。
セラミックの利点

セラミックスは透明感と強度を兼ね備え、天然歯に近い色味や光沢を再現しやすい素材です。
従来の金属を用いたかぶせ物のように、金属アレルギーの心配も少なく、歯ぐきとのなじみが良い特徴があります。
セラミックス素材は調整が比較的容易なため、咬合再構成の際に歯の高さや形を細かく整えることができます。
調整後も色や質感を保ちやすく、長期的に見ても安定した咬み合わせを作りやすい素材といえます。
当院が噛み合わせ治療で心がけること

噛み合わせの問題は目に見えにくく、わずかな差が大きな不快感につながる場合もあります。
フェイスボウや咬合器などの専門的な機材を活用し、顎関節や筋肉の動きを考慮した精密な診断を行います。
その結果に基づいて、一人ひとりに合った治療プランを組み立てています。
噛み合わせ治療は、長期的に通院しながら取り組むことが多い分野です。
そのため、治療の目的や期間、予想される効果などを明確にお伝えし、患者様と一緒にゴールを目指して進めます。
不安や疑問があれば、その都度お尋ねいただきたいと考えています。
歯並びの問題が大きい場合には、矯正歯科医と連携して歯列を整えることも検討します。
むし歯や歯周病がある場合には、そちらの治療を並行して行うことで、総合的に口腔環境を改善できます。
より良い結果を得るには、包括的な視点が欠かせないと考えています。
噛み合わせ治療のメリット

歯が正しく噛み合えば、食事の際に食べ物をスムーズにすりつぶせるようになります。
また、発音も明瞭になりやすく、会話中の違和感が減ることで、コミュニケーションが楽になります。
正しい噛み合わせにより、特定の歯に過度な力がかからなくなります。
顎の関節や歯の寿命が延びやすく、将来的な歯科治療の回数や負担を減らせる可能性があります。
体全体の歪みや筋肉の緊張を低減する効果が期待でき、日常生活の質が向上しやすくなります。
肩こりや頭痛に悩んでいる方も、噛み合わせを直すことで症状が軽くなる場合があります。
噛み合わせ治療をご検討の方へ

噛み合わせの乱れは、日常生活の様々なシーンで不便や痛みを引き起こす要因になります。
当院では、KAVOのフェイスボウを用いた精密な咬合診断から、スプリントやセラミックスによる再構成まで、患者様の症状に合わせた治療を提案しています。
歯や顎に不調を感じたときや、食事がしづらい、口の開閉に違和感があるなどの症状があるときには、ぜひ一度ご相談ください。
丁寧な検査とカウンセリングを通じて、快適な噛み合わせを取り戻すお手伝いをいたします。